トラリーの町の中心地にある”ケリー州博物館”に行って来ました。
中世の町を再現したエリアには想像していた以上にリアルな人形がたくさん並んでいて、「本当に当時のヨーロッパの生活風景はこんな感じだったんだろうなぁ」と思えるほどでした。

目次
ケリー州博物館の中
●アイルランドの人権活動家の”ロジャー・ケースメント”について
●アイルランドケリー州の南極探検家”トム・クリーン”について
●紀元前8000年(現在から約9000年~1万年前)から現在までの人間の歴史について
●考古学者が使う道具や技術、発掘調査を体験
●1450年頃のトラリーの様子を再現した町
博物館内は上記のようなテーマで構成されていて、他にも小さいものを含めるとまだまだあるんですが、どのエリアもとても広かったです。
ロジャー・ケースメント

アイルランドのダブリン出身の”ロジャー・ケースメント”は、”イギリスの外交官”、”リオ・デ・ジャネイロ駐在総領事”を経て、最後には”アイルランド独立活動家”になった世界的にも有名な人物です。
ベルギー国王による残虐な支配を世界に報告

上の写真は実際に博物館に展示されている物で、手を切断された子供達と切断された手を持つ男性達が写っています。
少し衝撃的な写真ですが、第2代ベルギー国王”レオポルド2世”によって支配(植民地化)されていた”コンゴ自由国(今のコンゴ民主共和国)”の先住民たちの写真です。
1885年、レオポルド2世は資源が豊富なコンゴ自由国すべてを自分の領地にし、当時とても需要があった天然ゴムや象牙を採集するため、そこに住む住民達を強制的に働かせていました。
その行いは残虐で、過酷さから逃げ出さぬよう子供や妻を人質に取り、逃げ出す者や定められた量を採集出来なかった者は手足を切断するなどの罰を与え、この国を支配していました。
当時、イギリスの外交官を務めていたロジャーはコンゴ自由国へ視察に行き、現地の残虐な行いを報告書にまとめました。
彼の報告書はこの現状を知らなかった各国の政府に渡り国際問題へと発展、レオポルド2世は世界から激しく非難され、1908年には彼によるコンゴ支配が終わりました(コンゴ自由国はレオポルド2世の私領地からベルギー政府の植民地へ)
ゴム業者による原住民虐殺事件
アイルランド独立活動家としての最後
ロジャーは駐在総領事を1912年に辞職したのち、アイルランド独立活動家として動き出します。
しかしその活動中、”アイルランド義勇軍”(イギリスによるアイルランド植民地支配に反抗する団体)のために水面下で行なった海外からの武器調達がイギリスに知られ、彼は逮捕されます。
この行為により彼は、イギリスに対するスパイ活動と反逆罪の罪に問われ、その後、ロンドンでの死刑が言い渡されました。
※アイルランド義勇軍やイギリスとアイルランドの関係については 北アイルランド観光するなら絶対知っておきたい重要な歴史 そして アイルランドからアメリカへ~アイルランド移民の歴史について~ で詳しく書きました。
イギリス外交官として様々な場所で功績を上げ、”ナイトの称号”までもらったロジャー・ケースメントでしたが、最後にはイギリスの植民地であった自国(アイルランド)のために力を尽くしました。
ケリー州博物館では、彼の生涯やその功績を広いエリアを使って紹介しています。
トム・クリーン

”トム・クリーン”は、イギリス海軍が行なった危険な南極遠征に、3度も参加したアイルランドのケリー州出身の南極探検家です。
彼のエピソードの中には…
●動けなくなった仲間を助けるため、1人で南極の氷の上を56キロも歩き助けを呼びに行った。
●氷の上で数ヶ月漂流したのち、救命ボートだけで海を1500キロ横断した。
などなど、これらを含む遠征中の活躍が高く評価され、数々の賞を受賞しました。
僕はアイルランド(特にケリー州)に来てから、あちこちでトム・クリーンのポスターや写真を見ました。
こちらではとても有名でヒーロー的存在なんだと思います。
トム・クリーンのエリア内では南極遠征の資料、使われていた道具、彼や彼のクルーの数々の功績が紹介されています。
紀元前8000年から現在までのエリア
博物館ではメインのエリアになります。
このエリアを簡単に説明すると、始めてアイルランドの大陸に人間がやって来て、狩りをし、道具を作り、作物を育て、村や町が出来て、政治が始まり…といった感じです。

メインのエリアなので、その展示物の数も多く、時代と共に変わっていく生活風景や服装、道具などは見ていてとても興味深かったです。
発掘調査を体験

こちらのエリアには考古資料や発掘現場で使われる道具が展示されていて、実際にその道具を使って発掘作業を体験することも出来ます。
(僕が見た時は子供だけしかやってなかったですけど笑)
ただその光景を見ていて、自分が子供の頃、ジュラシックパークに影響を受け発掘作業をやりたかったことを思い出しました。
(映画内で主人公がペンダント代わりに付けている恐竜の爪が、僕は欲しくて欲しくてたまらなく、お土産屋さんなどに行った時には必ず探していました)
なので僕は子供達が去ったあと、こっそり発掘体験をやっておきました。
中世の町の再現

僕にとってはここがメイン。中世のトラリーの町並み(日常)を再現したエリアです。
行く前は「小さな範囲にちょこっとあるだけだろうなぁ」と思っていたんですが、実際行ってみるとかなり広いエリアでした。
人や建物はリアルに再現されていて、本当に動き出しそうで期待以上でした。
最後に
ケリー州博物館は僕が泊まっていた宿のすぐ近くにあり、”中世の町を再現”という言葉に惹かれ行ってみたんですが、各エリアには想像以上の量の資料が展示してあり驚きました。
正直、日本語で資料を読むのも大変なのに、英語の資料を読むなんてめちゃめちゃ大変で、毎回携帯のアプリを使いながら、なんとかかんとかやってます。
そんな状況の中、どのエリアも興味深かったですが、僕にとっての一番はアイルランドの英雄2人について知れたことでしょうか…とにかくとても価値のある訪問になりました。
●場所 ケリー州博物館(Kerry County Museum)
●詳しくは こちらのサイトよりご確認下さい。
最後までありがとうございました。
それでは、また!!
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