今回紹介するのは「クロー・パトリック」という名の山。
ウェストポートやその近くに行くのなら必ず行って欲しい場所です。
僕は今までアイルランドにある色んな山に登ってきましたが…今回の山、僕の中では暫定一位です。
目次
クロー・パトリックへの行き方
僕は今回、ウェストポートという町からクロー・パトリックへ向かいました。ウェストポートからクロー・パトリックまでは歩いて2時間ほどの距離。
さすがに歩いて行くのはしんどいですが安心して下さい、町からバスが定期的に出ているので簡単にアクセス出来ます。
あと、ウェストポートには自転車をレンタルしているお店が数件あったので、チャリンコで行くのも1つの手段です(40分ほど)
僕はというと、ヒッチハイクで行きました笑
ヒッチハイク
ヒッチハイクで町から町へ移動する時、いつもなら大きなバックパックを持っているんですが、今回はめっちゃ軽装、しかも歩いて2時間の距離…なんだか申し訳ない気もしたんですが、「現地の人と話せる貴重な時間だしな」という身勝手な考えのもとヒッチハイク開始。
開始10分ほどで一台の車が止まってくれました。
今回乗せてくれてのはオランダ人のお姉さん、しかも1人。今までのヒッチハイクではなかったパターンです。
昼間とはいえ、やはりお姉さん1人で見知らぬ男性を車に乗せるのは危険です!!(乗せてもらっている僕が言うのもなんですが…)
なので皆さんも、知らない人を車に乗せる時はくれぐれも気を付けて下さい(乗せてもらっている僕が言うのもなんですが…)
あ、もちろん僕はなんにもしませんよ!!アイルランドの青い空とエメラルドグリーンの大地に誓います!!
話しはそれましたが、お姉さんは既婚者。アイルランド人の旦那さんと子供もいるそうです。
僕が「旅のあとは仕事をするかも…」と話すと、お姉さんが以前働いていた場所(リゾートバイトのようなところ)を紹介してくれました。
やっぱり情報はネットだけじゃない、現地では人から得られる良い情報がたくさんあります。
そんな話しをしながら目的地に到着。「ありがとうございました!!」
ビジターセンター

右側の山がクロー・パトリックです
山のふもとには大きな駐車場とビジターセンター(兼お土産屋さん)があり、ここに入る(登る)のは無料です。
そして、右側に見えているのが標高764メートルの山「クロー・パトリック」です。
そんなに高くはないはずなんですが、山の形状のせいか下から見るとなんかめっちゃ高く感じます。

聖パトリック像
ビジターセンターを過ぎ、しばらく進むと聖パトリック像がお出迎え。
実は聖パトリックとクロー・パトリックには深い深い繋がりがあります。
聖パトリックとクロー・パトリック

聖パトリックがアイルランドに来るもっと前、この山はドルイド教の聖地でした。
その後、聖パトリックがアイルランドにキリスト教を伝えにやってきて、彼が修行の際、この山の山頂で40日間の断食をしたと伝えられています。
そのことから、聖パトリックとクロー・パトリックが深く結びつき、今ではキリスト教巡礼の聖地と呼ばれるようになりました。
※アイルランドと聖パトリック、そして古代ケルト人が信仰していた「ドルイド教」については ハロウィンの起源はアイルランドにあり~古代ケルト人の儀式が世界へ~ で詳しく書きました。
登山開始

この日の天気予報は雨のち晴れ。
午前中はパラパラと少し雨が降っていて、僕が到着した昼頃には止んではくれましたが、まだ雲が山にかかっている状態でした。
それでも山の反対側はぼちぼちの晴れ模様、まだまだスタート地点ですがイイ景色です。
急斜面とめっちゃある石

はっきり見える山頂
前半はそんなことないんですが、後半の方はかなり傾斜がきつくなってきます。

クロー・パトリックのもう1つの呼び名にリーク(The Reek)という名前があります。リークとはアイルランド語で”がれきの山”を意味する言葉。
まさにその名の通り、道には無数に石が転がっていて、それに足を取られて何度も転びそうになりました。
山の標高はそんなに高くはないものの、後半の急斜面と無数に転がる石はなかなか厄介で、今までアイルランドで登ってきた山の中で一番しんどく感じました。
素足で歩く男性
登っている途中で、この悪条件の道の中を素足で歩く男性を見かけました。
正直スニーカーで登っていても、時々石の角を踏んで傷みを感じるほどです。「その道を素足で登る!!?」
「本当に巡礼の聖地なんだな」と思わせる光景でした。
山頂に到着


山頂はまさに別世界、急斜面を登ってきたからこその景色です。
たぶん緩やかな登り坂だったら周りの地面が視界に入り、ここまでキレイに見えてはいないと思います。
そして、上から見下ろす地上はまるで地図のよう、大きな陸地、小さな陸地1つ1つがはっきりキレイに見えます。
巡礼の聖地、まさにその名に相応しい景色でした。
山頂の教会

St Patrick’s Chapel
こちらの白い建物は、毎年夏の間だけ開く小さな教会です。
僕が訪れた時にはもう閉まっていましたが、山頂の風はとても強く冷たかったので、風をしのぐには最適な建物でした。
下山の時は気を付けて…
山頂でしばらく休憩した後、下山。
登るより楽は楽なんですが、やはり急斜面と石のせいで足下は不安定、かなり滑りやすいので慌てず慎重に下りましょう。
所要時間は個人差もありますが、登りは2時間半、下りは1時間ちょっとです。
ちなみにビジターセンターの近くで、木製の歩行スティックがレンタル(たしか1ユーロほど)されています。僕は使っていませんが、杖があるだけでかなり安定感が増すようです。
クロー・パトリックの近くにある記念碑

Great Famine National Monument
登山のあと、まだ体力が残っている方は見に行ってみて下さい笑
とはいっても、クロー・パトリックのビジターセンターから道路を挟んで反対側にあるので、めっちゃ近いです。
一見なんの変哲も無い船の記念碑ですが、近くに寄って見てみると…

船の上にたくさん連なっている物はガイコツなんです。
アイルランドの飢饉時代、多くの住民が生きるために海を越え、安全な土地へ渡ろうとしました。
しかし、乗り込む船の環境は劣悪、定員を遙かに越える乗員に、渡航者たちは狭い船内に詰め込まれ、吐しゃ物や汚物のにおいに耐えながら何日もかけ海を渡ります。
また船に乗り込む住民の大半は、乗船前から体が弱りきっていて、すでに栄養不足、その上、渡航者たちが持ち込む赤痢やコレラといった病気が蔓延する船内。
こういった環境で航海する船に乗り込んだ渡航者の死亡率は40%に達していたそうです。
そのため人々は当時、このような船のことを「棺桶船」と呼んでいました。
この記念碑は、まさにその棺桶船を表現していて、ジャガイモ大飢饉で亡くなった何百万人もの人々を追悼する目的で造られました。
※アイルランドを襲った「ジャガイモ飢饉」、その影響で多くのアイルランド人が国外へ移民として渡った歴史については アイルランドからアメリカへ~アイルランド移民の歴史について~ で詳しく書きました。
巡礼の出発点

ムリスク修道院
こちらはクロー・パトリックのビジターセンターから歩いて5分ほどの場所にある修道院で、1456年に聖パトリックの旧教会があった敷地内に建てられました。
ムリスク(Murrisk)とは、この修道院がある村の名前で、ここはクロー・パトリック巡礼の出発点となっていました。
●場所 ムリスク修道院
最後に
クロー・パトリック、けっこうキツい山でしたが、キツい思いをしてでも登る価値絶対ありです!!
とはいえ、別にプロが登るような山ではないので、そんなに気合い入れて行かなくても大丈夫ですよ笑
とりあえずスニーカーと、山頂は寒いのでパーカーぐらい持っていけば安心です(冬はヤバそうですが…)
それから、クロー・パトリックの近くの観光スポットをちょこちょこっと書きましたが、どちらも歩いてすぐいける場所にあります。
クロー・パトリックに行った際には是非立ち寄ってみて下さい。
最後までありがとうございました。
それでは、また!!
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